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2016-03-31

「障害者差別解消法」と「ユニバーサルデザイン」勉強会が開催されました

1-全員

2016年4月1日から「障がい者差別解消法*」という新しい法律が施行されます。また、「ユニバーサルデザイン」という言葉も良く耳にしますよね。

新法施行を目前にした3月3日(木)、これらをテーマにした勉強会があり、「Co-Co Life(ココライフ)女子部」編集部の守山菜穂子が講演をしました。

これを読んだら、「なるほど!」「そうだったのね」と、 分かるはず。自分たちに関わる法律だから、しっかりと知っておきましょう。

*正式名称=「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」

 

はじめにーーご挨拶

2-守山、斉藤、増山

左から/本誌編集:守山菜穂子、北区議会議員:斉藤りえさん、本会主催の増山れなさん

増山れな:みなさん、初めまして。本勉強会主催の「増山(ますやま)れな」と申します。ジャーナリスト・画家で、今夏の参院選にチャレンジすることになりました。バリアフリーで皆さんが暮らしやすい社会を作りたいと思い、今日の勉強会を企画させていただきました。

吉田忠智:こんにちは。社会民主党党首・参議院議員の吉田忠智(よしだただとも)です。今回は、2016年4月1日から施行される「障害者差別解消法」を目前にして、具体的に取り組みが進むようにという学習会です。出席されました皆さんには、心から敬意を表します。

またこの度「手話言語法」が全国のすべての自治体で制定されることになりました。これまでの関係者のご努力に、心から敬意を表します。国会においてもこの先、立法されることになると思います。障がい者福祉政策は、社民党の最重点政策です。まだまだ日本は遅れていると思っており、手話が言語として社会的に認められるように、努力をしていきたいと考えております。

増山さんは、この「障がい者・バリアフリーの問題」、「若者の貧困・奨学金について」など、社会的に厳しい立場におられる方々に寄り添って、運動を続けて来られました。国会議員を目指し、7月の参議院東京選挙区で、社民党議員として立候補してするという決意を固めています。

これから「障害者差別解消法」が活かされ、それらの運動をしっかり進めていくことを、皆様方と誓い合いまして、私からのご挨拶にさせて頂きます。

増山:それでは本日の講師、守山菜穂子(もりやま・なおこ)さんをご紹介させて頂きます。守山さんは障がいのある女性のためのフリーペーパー「Co-Co Life女子部」で編集をされています。また読者代表の大山結子(おおやま・ゆうこ)さんは「双極性障がい」という精神障がいを抱えながら、アート活動をされている作家さんです。後半で、当事者の方の思いをお話しいただきます。では守山さん、よろしくお願い致します。

守山菜穂子:初めまして、守山菜穂子です。まず私の自己紹介ですが、本職は「メディアプロデューサー・ブランドコンサルタント」です。大学を卒業してから広告代理店、出版社で計14年間で働いていました。いわゆる「マスコミ」ですね。ファッション雑誌の企画営業などに関わっていました。2年前に独立し、現在は中小企業や個人の方に向けて「ブランド力を上げる」プランの提供や、セミナー講師などをしています。

私は2013年に偶然、ココライフの記事を新聞で見かけまして。「障がいのある女性たちがおしゃれを楽しんでいて、さらに自分たちでファッション雑誌を作っている」という趣旨の記事だったのですが、非常に感銘を受けました。自分が今まで長年ファッション雑誌、女性誌に関わって来たというのに、こんな世界があるというのを全く知らなかった。そこからすぐにボランティアで入り、4年目になります。今は本誌の編集として関わっています。

2014年に出版社を退職しまして、フリーランスとなったのですが、本業としてはコンサル業をやりつつ、こちらの雑誌にも積極的に関わっています。

 

「Co-Co Life女子部」とは

3-守山さん話、増山、大山

手話通訳の方も入っています(右)

守山:本誌は、障がいや難病のある女性のための、ファッションフリーペーパーであり、コミュニティです。障がい当事者の女性たちが、全国で約400人ほど登録されており、あらゆるタイプの障がいの人たちが集っています。

一般的に、視覚障がいの人、聴覚障がいの人、車いすの人など、いろいろなコミュニティがあるのですが、普通は障がいごとに仲間が集まっているんですね。ですので、様々な女性が一堂に集うコミュニティとしては、かなり貴重だと思っています。雑誌と、メールマガジン、Facebookなどを使いながら仲良く情報交換をしています。誌面に出演している読者モデルさんは、全員、障がいや難病の当事者です。

もうひとつの特徴としては、記事を書いているライターも障がいや難病の当事者だということです。編集やデザイナー、カメラマンはプロが関わっており、雑誌としてのクオリティーは担保しています。ですが、中に書かれている記事は「当事者から当事者へ」、何かしらのメッセージを伝えるというのが大きなコンセプトになっています。

恋愛や結婚、ファッションのほか、福祉に関わるイケメンの特集、パラリンピックの女性アスリートなどの記事も人気です。

本誌は年4回、季節ごとに発行していて、1万部発行しています。登録している方のご自宅や、病院・リハビリ施設、区役所の福祉課、社会福祉協議会、福祉施設などに配本しています。障がい雇用に力を入れている企業には、当事者の数だけ送って、社内で配って頂いたりもしています。

誌面に読者モデルさんをご紹介するときは、お顔があって、名前と年齢が載っている後に、障がい名を掲載させていただいています。「私と同じ障がいでも、こんなにおしゃれしているんだ」、「こんな風に活躍しているコもいるんだ」と、全国の読者に共感してもらえたらな嬉しいという思いです。

今日は、以前から愛読して頂いている「読者代表」ということで、大山結子さんにお越しいただきました。

大山:初めまして、読者の大山結子です。私、美術をやっているので、視覚情報にうるさくて。雑誌を見て「ダサイな」と思う事も時々あるんですけど(笑)、「Co-CoLife女子部」はいつも美しく仕上がっていると思います。障がいがある人はもちろん、ない人が見ても、おシャレで面白い雑誌です。

「おシャレである」というのは重要なこと。「贅沢(ぜいたく)」ではなく、「人間のプライドを保つために重要なこと」なんです。今後も、おしゃれの重要性を訴えて欲しいし、このクオリティーを保って頂けるよう願っています。

 

ユニバーサルデザインとは?

守山:さて「ユニバーサルデザイン(UD)」という言葉には、2つの側面があります。

まず「ハード面」について。これは、ノースカロライナ州立大学教授・建築家で、車いすユーザーだった。ロナルド・メイス博士(故人)が提案した「定義」があります。『特別な製品や調整なしで、最大限可能な限り、すべての人々に利用しやすい製品、サービス、環境のデザイン』となっています。

例えば「エレベーター」。目が見えない方、車いすの方、ベビーカーを押している方、高齢者、外国人、そして健康な方。誰でも乗れますね。こういうものが「ユニバーサルデザイン」です。

一方、駅の階段についている「階段昇降機(リフト)」、これはUDではありません。「車いすの人」専用の製品だからです。また、道路や駅のホームにある「点字ブロック」、これもUDではありません、「視覚障がい者」専用の製品だからです。これらのものは「バリアフリー」と呼ばれており、限られた人のための専用のアイテムです。

限られた人のバリアを取り除くから「バリアフリー」ですね。ただ、専用のものも、必要な場合があるんです。たとえば、駅の改装がすぐはできず「とりあえずリフトをつけて、車いすの人でも上がれるようにする」という時など。段階措置としては、すごく大事なのですが、できれば、誰もが使えるユニバーサルデザインの方向に動いていくと良い訳です。

誰でも使いやすいハードウェアや、そのシステム・デザインのこと。これをUDと呼びます。

もうひとつの側面は「ソフト面」で、人が対応できることです。例えば、車いすの方や、視覚障がいで白杖(はくじょう)をついている方を見かけた時に、「何か、お困りではありませんか」、「何かお手伝いできることはありますか?」と声をかける。これは「心のユニバーサルデザイン」、「心のバリアフリー」と呼ばれています。

手伝いが必要そうな方を街で見かけた時、一般的には、遠巻きにして何にも言わないか、急に車いすを押し始めたりするるか、どちらかが多いようです。自分の身に置き換えてみると、駅のホームを歩いているとき、後ろから急に腕をつかまれたら、怖いですよね? だから「何かお手伝いできませんか?」とか「お手伝いしましょうか?」、または「ちょっと、そこ、段差があるので気をつけてくださいね」と声をかける。皆さんも、こういう声のかけ方を、ぜひ覚えてください。

 

なぜ、ユニバーサルデザインに取り組まなくちゃいけないの?
障害者差別解消法とパラリンピック

 守山:まず、今年の4月から、「障害者差別解消法(正式名称・障がい理由とする差別の解消の推進に関する)」という法律が施行されます。この法律では、民間事業者(企業や店舗)に対し、2つのことを求めています。

1つ目は「障がいを理由とする、不当な差別的な扱いを禁止する」。障がいを理由として入店拒否したり、サービスを拒否することが禁止されます。2つ目は「必要かつ、合理的な配慮をするよう努力しなければならない」。民間企業は、スロープを設置したり、聴覚障がい者向けに筆談の対応をする、視覚障がい者向けに読み上げの対応をするなど、「合理的な配慮」について努力しなければいけないのです。

それから、2020年8月25日〜9月6日には、東京でパラリンピックが開催されます。「パラリンピック」というのは、身体・視覚障がい者を対象とした「もうひとつの(パラレルな)」オリンピック、という意味。パラリンピックは、「オリンピック」「FIFAワールドカップ(サッカー)」に続く、世界で3番目に大きなスポーツイベントです。

2012年の「ロンドン・パラリンピック」は、164の国と地域から、4,300人の選手が参加し、チケットが27万枚、発行されました。2020年東京は、これ以上の規模になると言われているので、開催期間2週間の間に、30万人近い障がいの当事者、その家族、そして応援団が、一気に東京に集まるということです。これは、ずっと当事者の人と一緒に遊んでいる私たちの肌感覚からすると、かなり大変なことです。

あの東日本大震災の時に、皆さんの意識が、大きく変わりましたよね。家族や、街や、エネルギーの使い方、家やモノや買い物などに対して、いろいろと発見があったと思うんですけど。ほとんどそれと同じくらいの「衝撃」が、東京に対して起きるんじゃないかと思っています。正直、簡単な事ではないです。

また2020年には、ユネスコと日本財団が共同で「障がい者芸術祭」と「障がい者サミット」を開催すると宣言ししています。2019年「東京スペシャルオリンピックス(知的障がい者のスポーツ大会)」、2021年「東京デフリンピック(聴覚障がい者のスポーツ大会)」の誘致も動いています。つまり、2019〜2021年に、障がいのある人やその応援団が、世界から日本に、たくさん来るという「事実」があるのです。

そして高齢化社会。2020年には高齢者が人口の約4割まで増えます。現在の日本でも、10人中4人が「高齢者」。20人中1人が「障がいのある人」です。視力に不安がある人は人口の55%と、すでに半数以上います。細かい文字や長い文章が読めない障がいの人。LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスセクシャル)という性的に独自性を抱えている人。外国人で日本に住んでいる人、外国人観光客。トイレの不安がある人、ベビーカーの人、左利きの人。このように、いろいろな方が住んでいることに配慮する必要がありますね。すべての人たちが使いやすい「ユニバーサルデザイン」が、各所で推進される必要があるのです。

 

取り組むとどう良いことがあるの?
福祉は「超・成長産業」!

4-守山さんの講演

守山:今までは「福祉」のお話だったのですが、ここからは「経済」的な話をしたいと思います。

先ほど、「東京パラリンピックが来るので気をつけて下さい」という話をしたのですが、実は今、「パラリンピックを応援する」というのが「トレンド」になりつつあるんですね。例えばつい先日、「BS日テレ」でくりぃむしちゅーの上田晋也さんが司会をする、障がい者スポーツ専門の番組が始まりました。また「嵐」の櫻井翔さんは「ブラインドサッカー」という、視覚障がい者サッカーの応援団を自主的に名乗っていて、「僕はブラサカ応援団です」なんて番組内でおっしゃっています。ぜひみなさんもこのトレンドに乗って頂きたいと思います。

それから、福祉の市場というのは「超成長産業」なんですね。「福祉用具」は現在、1兆3,000億円くらいの市場規模で、さらに毎年10%づつ成長しています。1兆3,000億円というのは、「スポーツ用品」や「郵便物」と同じくらいの規模です。「ペット業界」が1兆5,000億円、「キャラクター」が1兆7,000億円。みなさん、こういうものは「すごく人気だな」という肌感覚がありますよね。そこにもうすぐ追いつくんじゃないかというぐらいの成長産業です。かなり大きい市場規模ということをご理解頂けるでしょうか。

私がいた出版業界は1兆5,000億円なのですが、右肩下がりなので、出版に関わっているよりも福祉業界に関わっている方が「成長産業」なんです。

2014年に、大阪の「バリアフリー展」を取材した時、トヨタ、パナソニック、日産、ホンダ、ヤマハ発動機、日立、積水ハウス、TOTO、ダイワハウスなど、超有名企業が、とても大きなブースを出していました。例えば「ウェルキャブ車」と呼ばれる福祉車両、シニアカー、電動アシスト車いす、新築・改修のユニバーサルデザイン住宅、ユニバーサルデザインフード。あと老眼鏡。今「老眼鏡」って呼ばないですね、「リーディンググラス」と言うのですが、こういったアイテムが増えています。

それから、福祉は今、すごくカッコ良くなっていまして。例えば「WHILL」という電動車いす。これは元々、ソニーにいた技術者が独立して作ったアイテムで、世界中から出資が相次いでいます。また昨年11月に渋谷の「ヒカリエ」とで開催し「超福祉展」。渋谷区長の長谷部健さんが主催したカッコいい福祉の展示会です。今、福祉ってこういう方向にかなり動いています。

「電通」という日本一の広告会社が、自社媒体でこう書いていました。「パラリンピックは、クルマのF1のように、最先端技術をお披露目する場。その技術で、途上国の安価な義足や、高齢者の歩行をサポートする製品をつくる」。福祉機器の最高峰の技術が集まるのがパラリンピックでもあるんですね。投資や、新しい技術を作りたい若い人たちが、積極的に参入している業界でもあります。

また、私はこれが専門なのでぜひお話ししたいと思うのですが、「名指しされる店」になるというのが、ユニバーサルデザインに取り組む大きな利点でもあります。例えば「あの店は入りやすい」となると、人はその店を絶対に忘れないんですよ。「あのレストランは、車いす10人で行ったけど、すごく歓迎してくれた」ということがあったら、そのお客様たちは、ずっとそこに行き続けるんですね。

例えば、私たちが良く行くのは「新宿タカシマヤ」。駅から直結で、レストランの中もとても広くて、ユニバーサルデザインが徹底されています。お店の方も非常に親切です。それからレストランの「びっくりドンキー」は、点字のメニューがあります。ハンバーグのサイズが点図になっていて、触ってわかるので、視覚障がいの人に喜ばれています。

こういう店は、確実に集客できますし、経済効果があります。おばあちゃん、親子の3世代で行くことも増えますよね。ということで、私は民間企業に「誰もが入りやすい店は、確実にお客さんが入りますよ」、「売り上げを上げるためにユニバーサルデザインに取り組んで下さい」とお伝えしています。

 

筆談ホステスから、区議会委員へ〜斉藤りえさん

5-斉藤さん話

左から、増山れなさん、斉藤里恵さん、2人の手話通訳さん

増山:さて、今日はゲストとして、東京都北区の区議会議員、斉藤里恵(さいとう・りえ)さんにもお越しいただきました。斉藤さんは聴覚障がいをお持ちで、北区で様々な取り組みをされています。ここから(口話と手話の通訳を挟んで)お話し頂きます。

斉藤里恵:「障害者差別解消法」、この法律ができたからといって、すぐに差別が減るわけではありません。例えば、一般的には「これまでに聴覚覚がいを持った人に会ったことがない」という方がほとんどです。「外で聴覚覚がいの人に会ったら、どういう風に接したらいいかわからない」と思う人は多いと思います。そんな風にとまどっていながら、お互いにいろんなことを話して行って、少しずつ障がいを理解してくださる方がたくさんいらっしゃいます。

私は実際に車いすに乗って、高田馬場駅の周辺をまわることにチャレンジしたことがあります。車いすの目線で街を歩くと、気づくことがたくさんありました。自販機に手が届かない。コンビニでは、手を伸ばしても、上の方の商品には全く届かない。トイレでは鏡や蛇口の位置が高かったりと、非常に不便を強いられる。

昨年から区議会議員になりましたが、日本で初めて、音声読み上げソフトの導入を議会で認めてもらえました。その機械には2つの機能があって、PCに文字を打つと、声になって伝えられる。また議会のみなさんの声、話の内容が、タブレット端末に文字となって出てきます。私はこの2つの機能を使って、議会に参加しています。ただ自動変換なので、誤変換もまだまだたくさんあります。他の議員さんも、自分が発した言葉が文字になった時に「あ、ここちょっと誤変換ですね」など、チェックをしたりしてくれます。あと、議場では、議員さん達が目で合図を送ってくれて、起立、着席のタイミングなどを、伝えてもらいながらやっています。

小・中学校の式典などでは、手話通訳もいません。だから私は、何もわからない。ただ「そこに存在している」だけでした。名前を呼ばれたときには、隣の議員さんが声をかけて教えてくださったりする。でも最近では私のために、あらかじめスピーチされるご本人から原稿をいただいたりしています。「心のバリアフリー」が、そうやってみなさんとともに広がって来ているのを感じます。

そういえば、北区の議会には夜間窓口があるのですが、そこには電話だけがあり、FAXが準備されていませんでした(聴覚障がいの方は聞こえないので、電話が使えず、FAXが便利)。悪意があったわけではなくて、単に「想定もれ」なのです。自分が実際に体験しなければ、気がつかないことがたくさんあります。

私が議員になったことで、議会でのバリアフリーが進んでいると感じています。これからは、障がい者の方も、どんどん政治家になっていくのが大切。そうすれば、ユニバーサルデザインが、もっともっと進むのではないかと思います。

増山:斎藤さん、ありがとうございました。今日は吉田党首に加え、文京区議会議員の浅田やすおさん、社民党の政策審議会の青砥さんも来てくださいました。ぜひ、りえさんを国会に招待して、何をすれば国会や、東京が、本当にバリアフリーになるのかを考え、を実現して欲しいと感じました。

先ほど守山さんが「企業はUDに取り組まないといけない」というお話をしていましたが、企業だけではなく、国もそうですね。2020年パラリンピックに向けて、海外からのお客様がたくさん来られた時に「ああ、この国はダメだ」と思われてしまっては、国益の問題にも関わります。

守山:本当にそうですね。ただ、この「Co-Co Life女子部」編集者の立場でお話しするとき、いつも私が言っていることがあるんです。「やらねばならない」、「国の施策だから」、「政策で」とか、そんな風に法律で「ねばならない」とだけやっていると、ツラくなるんですよ。民間企業に「障がい者たちが来ますよ! 大丈夫ですか?」とか言うと、本当に委縮して、何から手をつけていいか、わからなくなってしまう。

そうじゃなくて「世界中の障がいのある人が、東京に来る。35万人の障がい者、その家族、応援団が東京に来る。では、いっちょ我々が、この人たち楽しませてやろうじゃないか」と。そういう考え方の方が良いと思ってるんですよね。

サービス業の方々って、元来「ホスピタリティー」「おもてなしの心」が、ものすごくあると思うんです。今まで皆さんがあまり目にしたことのないーー例えば聞こえない方、見えない方、車いすの方。いろんな人が来たときに、「うちのお店で何ができるだろう?」「せっかく来て頂いたのだから、楽しんで帰って頂こう」と。そういう考え方でやって下さい、とお願いしているんです。

今日、斉藤区議(ろうのため、発音がはっきりしない)がお話されている間、みなさんは「どうやったら自分が、うまく斉藤さんのお話を聴けるかな」って、聞きたくってワクワクして、続きが聞きたくて、耳を真剣に傾けたと思うんですよ。あと、会場に車いすの人が来たとき「彼女がどこに座ったら見やすいかな」と、配慮したと思うんですね。そういうことなんです。それで良くて、個人的には「ねばならない」という感覚は、本当に捨てていいと思います。

 

精神障がいからアートを生む〜大山結子さん

6-大山さん話し

増山:それでは最後に、読者の大山結子さんからお話いただきます。

大山結子:「障がい」といっても、実にさまざまな種類があります。私は「自分が障がい者だ」と言っても、なかなか人に信じてもらえません。五体満足だし、喋れる。聞こえる。見える。では、一体どんな障がい? どんな病気かわかりますでしょうか。私は「双極性障がい」です。ただ、理解されにくいので通常は「うつ病です」と説明をしています。

具体的に困ることは、病気で、朝、時間帯により具合が悪くなってしまうところです。午後から私は、ほぼ障がいを感じず、元気にしています。ところが朝、ちょうど78・9時くらいの時間帯、私は、ぐったりして、トイレに行くのも難儀してしまういます。朝のゴミ出しは本当に困ります。体調が良い時にしかゴミを出せないので、前日の深夜になるべく出すようにしています。

もともと体がしんどいので、買い物は宅配サービスを利用することが多い。となると、梱包材などのゴミも多い。ゴミ出しをしなければゴミ屋敷になってしまう。でもゴミ出しをしていい時間帯は、朝のゴミ回収車が来るまでの時間帯なので、私は一番しんどいんです。それ以外の時間帯にゴミ出しをしたら、ずぼらな人だとか、マナーが守れない「悪いやつ」だと思われてしまう。やむをえないことなのに……。

守山:世の中の仕組みは「多数派」に合わせて作られていますよね。いろんな障がいの方、高齢の方、子どもたち。「少数派」にも配慮して、世の中の仕組みを作っていくことができると良いなと、思っています。

大山さんは精神障がいなので、いわゆる抗うつ剤のようなお薬をたくさん飲んでいるんですけど。美術大学に通っていた時、その飲んだ薬の殻をビンにギッシリとため込んで、そこから「たくさんの薬の殻を部屋中に敷き詰める」というアート作品を作っていらっしゃいました。現代アーティストとして、その作品をオーストリア・ザルツブルグの展示会で披露したりと、活躍されています。

自分が飲んでいるお薬の殻を、「自分の中」から生まれてきたアート作品に変えているという。障がいとして、自分が持っているものをプラスに変えて発信しているので、私は尊敬しているんです。またそういう作品を、たくさん見せて欲しいと思います。

増山:そのザルツブルグの展覧会、実は私がキュレーション(企画)したものなんです。

守山:あ、そうなんですね! それは初耳でした。

増山:その時、日本を代表するアーティスト7名にお願いしたのですが、日本の特色として、やはり「心の問題」を抱えていらっしゃる方が多いという事で。大山さんのアートはすごくビビッドな作品だな、と感じて、参加をお願いし、一緒にザルツブルグに行きました。

また、今日の勉強会が開催されたのも、大山さんのおかげなんです。というのは、私が最初に「増山れなはこういう世界、日本を作りたいです」という基本政策をFacebookに掲載したところ、大山さんから「れなさん、ちょっと足りない所があると思います」と指摘をいただいて。「れなさんと社民党の皆さんの政策には、障がいを持った、障がいと共に生きる方への配慮が、ちょっと足りないのではないか」と。

守山:なるほど、素晴らしいですね。

増山:「れなさん、もうちょっと勉強してください」と言われまして。「それでは、ぜひ大山さんの話を聞く会をやろう」と言ったら、「れなさん、素晴らしい雑誌があるんです。『Co-Co Life女子部』という雑誌があって、そこの編集者の守山さんがすごくお詳しいので、お話を聞いてお勉強されたらどうですか?」という風に案内してくださって。今日の会となりました。大事な機会を作ってくれて、ありがとうね。

さて、今日は守山さん、斎藤さん、大山さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

一同:拍手

守山:(手話を使って拍手)。みなさん、これが「見える拍手」です。ぜひ覚え帰って下さいね。

 

私は、何から始めたらいいの?という方に

ここまでお読みいただきありがとうございました。ユニバーサルデザインについて、少しだけ理解して頂けましたか。

「では私は、何から始めたらいいの?」という方に、編集部から提案したいことが2つあります。

1つは「ユニバーサルマナー検定」。この検定は、障がいがある人、車いすの人、視覚がいの人などに対して、どういう接し方をしたら良いのかを学べる場です。高齢者体験・車いす体験などもできます。一般向けなので、どなたでも受講しやすい内容です。

詳細はこちら:
www.universal-manners.jp/

もう1つは、サービス業の方向けに。「サービス介助士」という資格が取得できるセミナーがあります。障がいのある方、高齢の方などがお店に来た時に、どんな介助をしたら良いのかを、しっかりと学べます。JR、東急電鉄など、サービス業での取得が増えています。スタッフの方が胸に付けている名札に、小さく「サービス介助士」と書かれているのを見た事がありませんか?

詳細はこちら:
www.carefit.org/carefit/

このようなセミナーを受けてみることが、心のユニバーサルデザインに繋がります。ぜひみなさんの力で、より良い社会にして行きましょう。

 

■謝辞:会場でカンパを集めていただき、15,064円を本誌の活動費に充てさせていただきました。ありがとうございました。

■本講演会は、2016年3月3日、参議院議員会館にて開催されました。

■スタッフ:

テープ起こし:ブラインドライター 松田昌美peraichi.com/landing_pages/view/blindwriter

文:松田かず子

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