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打越さく良先生の法律相談 連載第2回

【第2回】差別は個性に優劣を付けること、合理的配慮は個性を認めて尊重すること

【Q】障害者差別解消法では「障がい者を差別してはいけない」とあります。でも「障がい者に合理的配慮はすべき」とも。健常者にはしない「合理的配慮」を障がい者にするのは「差別」ではないのですか?


【A】確かに、「合理的配慮」と「差別」の違いはわかりにくいですね。2006年に国連で採択された「障害者権利条約」、ここで初めて「合理的配慮」という言葉が登場しています。日本では少しずつ法改正が進められ、2014年に承認。今年4月から施行された障害者差別解消法は、この「合理的配慮」を実現するためのものです。
 では、合理的配慮とはどういうものでしょうか? 条約の第二条では「障がい者が他の人と同じように、自由に行動するために必要な措置を執ること」と言っています。
 「差別をしない」とは「“公平”に扱う」こと。そう言われると、あたかも「機械的に全員に同じ対応をするのがよい」と誤解してしまうかもしれません。しかし私たちの社会は、健常者の視点で作られていることが多いですよね。段差のある道路や、音の出ない信号機、字幕のないアナウンスなど、健常者にはなんの問題もないことでも、障がいのある人にとっては日常生活を送ることも困難でしょう。障がい者を健常者と同じ扱いをしてしまうと、社会での活動や自立が難しいのです。それらをほったらかしにし、機械的な対応をすることこそ、得られるものが人によって異なるため、「差別」になるのです。
 どのような配慮が必要かは、人によって違いますよね。そのため、誰かが「段差を乗り越えられない」「文字が読めない」など、手助けを必要とした場合は「車いすを持ち上げる」「スロープを用意する」「代わりに文字を読む」というふうに、その都度、介助者の負担の少ない形で、「合理的」に手助けをするべきなのです。それは、健常者が当たり前にしていることを障がい者も同じようにできるようにするだけ。つまり「平等」になるための「配慮」なのです。これは「人に差を付けること(差別)」ではないのです。

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