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打越さく良先生の法律相談 連載第5回

【第5回】社会を変えるため、「違法行為」には声を上げていきましょう!!

【Q】視覚障がい。ひとり暮らしの部屋を探しているが、「火事になると困る」と言われて内見すらできないことが多い。障がいを理由に入居を断ってもいいの?


【A】2015年11月、国土交通省は、不動産事業者等に向け「国土交通省所轄事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」を公表しています。この指針は、差別の解消に向けた具体的取り組みを促すための考え方を示すもので、「事業者に強制する性格のものではない」が、「できるたけ取り組むことが望まれる」という程度にとどまっていますが、これはまだ、障害者差別解消法が施行される前のもの。その後の2016年4月、障害者差別解消法が施行され、不動産事業者などは、「その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」ことが明文化されたので(8条1項)、指針において不当な差別的取り扱いにあたると想定される以下の事例については、業者はしてはいけない、といえるでしょう。

・ 物件一覧表に「障害者不可」と記載する。
・ 物件広告に「障害者お断り」として入居者募集を行う。
・宅建業者が、障害者に対して、「当社は障害者向け物件は取り扱っていない」として話も聞かずに門前払いする。
・ 宅建業者が、賃貸物件への入居を希望する障害者に対して、障害その他の心身の機能の障害があることを理由に、賃貸人や家賃債務保証会社への交渉等、必要な調整を行うことなく仲介を断る。
・ 宅建業者が、障害者に対して、「火災を起こす恐れがある」等の懸念を理由に、仲介を断る。
・ 宅建業者が、一人暮らしを希望する障害者に対して、一方的に一人暮らしは無理であると判断して、仲介を断る。
・ 宅建業者が、車いすで物件の内覧を希望する障害者に対して、車いすで の入室が可能かどうか等、賃貸人との調整を行わずに内覧を断る。
・ 宅建業者が、障害者に対し、障害を理由とした誓約書の提出を求める。

 「火事になると…」は例示そのままです。ずばり、障害者差別解消法に違反する、といえるでしょう。全国賃貸住宅経営者協会連合会でも、差別解消法について「パンフレット」を作成し理解を求めようとしています。
 ところが、違反したからといって罰則があるわけではありません。でも諦めなくて大丈夫。不当な入居拒否について、各自治体の窓口などが対応しています。人の偏見はすぐには変わらないかもしれません。しかし、泣き寝入りしないで、おかしいことはおかしいと声をあげれば、社会も変わっていくはずです。

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