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打越さく良先生の法律相談 連載第6回

【第6回】差別解消法施行後3年目の見直しに向け声を上げて

【Q】ある路線に乗ろうとしたら航空会社に「車椅子対応していない。補助も行わない」と言われ、搭乗できませんでした。これは障害者差別解消法違反ではないのですか?アメリカでは裁判になったときいています。裁判にしたら勝てますか?


【A】日本でも障害者差別解消法がある。こんな配慮のないこと、許されないはず。そう思いたいところです。

 確かに、同法は、航空会社のような事業者は、社会的障壁の除去のために必要な合理的配慮を行うため、必要な環境の整備に努めなければならない、としています(4条)。また、その事業を行うにあたり、不当な差別的取り扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはいけませんし、障がい者から社会的障壁の除去を必要としていると意思表明され、その実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去について必要かつ合理的な配慮をする努力義務があります(8条)。しかし、努力義務にとどまります。

 ただ、合理的配慮に関して、主務大臣、航空会社でいえば国土交通相は特に必要と認める場合には、報告するよう求めたり、助言や指導、勧告をといった行政措置をとることができます(12条)。それで一応事業者が合理的配慮を徹底することが期待されるのですが…。しかし、あくまでも、「特に必要があると認めるとき」。あからさまな差別のケースに限られるでしょう。配慮する側の負担が重い場合は合理的配慮の義務はそもそも発生しないとされています。人員が不足していて、補助の要員がいない、といったことだと、それでも対応せよというのは負担が重いから、仕方ないとして、そもそも合理的な配慮の義務は生じない、したがって、行政措置も執られない可能性が高そうです。
 だったら民事上の損害賠償請求はどうでしょうか。そもそも、行政措置が考えられる場合でも、民事上の損害賠償請求権が発生するとは限らないそうです。行政措置が難しいならなおさら違法性は認められず損害賠償の請求も厳しいでしょう。

 では、法律の意味がない!?差別解消法には、障がいの有無を問わず共生する社会が望ましい、合理的配慮をすべきだ、という方向性を打ち出したことに大きな意味があるのですが…。実効性がないことは否めません。施行から3年をめどに見直しする附則(7条)が盛り込まれています。施行から3年の平成31年は間もなくですから、見直ししてほしい!という意見を示していくことが必要です。

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