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フィリピン、デュマゲッティ体験談その11、エスケイプ


 ユースセンターでのサービス活動最終日である日金曜日、
私たちはいつものようにステイしている村からユースセンターへの片道約10分を歩いていました。


 と、ユースセンターの近くまで来た時、
そこで保護されているはずの14歳くらいの男の子に出会ったのです。

「え?Why are you here?(何でここにいるの?)」。

"Escaped(脱走したのさ)"

と、彼は誇らしげにエスケイプしたのだと答え、
満面の笑みで私たちに手を振って走り去って行きました。

 で、私たちがユースセンターに着いた時、
なんと15人いたはずの男の子がたった5人しか残っていなかったのです!

2010年7月16日午前9時、
ユースセンターが始まって以来(2007年設立)最大人数がエスケイプしました
(私たちが着いたのは9時半ごろです)。

 その日、外では草刈り機が動いていたため、
1階にいたスタッフには2階で何が起こっているのかが聞こえませんでした。

彼らは部屋の天井の板を1枚外し、ドアに足をかけて天井に登り、
みんなの毛布を結び併せてロープを作って、2階の天井から下へ下りたのです。

エスケイプしたのは主に8歳から14歳の小さな子たちで、
1番年上の男の子が毛布の端を持って先に小さな子たちを逃がし、
1番最後の彼はたぶんどうにかして1階の屋根にすべりおり、
そこから飛び降りたと思われます。

だからみんなより逃げるのが遅れたのでさっき私たちとすれ違ったのです。
残された5人は1階にいたので、みんなが2階でエスケイプしていることに気づけず機会を逃したのでした。

 ...30度を越えるフィリピンの道路のアスファルトは、まるで湯気が出そうな熱さです。
私たちがすれ違った彼はその道路を裸足で、着の身着のままで走って行きました。
確実に足の裏は火傷してると思います。

彼らのうち多くは我が家を目指しています。
みんなそこまでして家に帰りたいのです。

ちなみに、私たちがすれ違った男の子の家はユースセンターからバイクで20分
(フィリピンのバイクだからゆっくり)のところなので、まあ彼は2時間くらい走るんでしょうね。

 ユースセンターのスタッフたちはべつに焦った風も責任を感じている風も無く、
「これだけの人数がエスケイプしたのは初めてだね。5月は7人だったよ。
まあいずれまた警察に捕まって、2週間もするころには全員ここに帰ってくるから」と。

彼らのうち10歳になるマイケルは、これで11回目のエスケイプだそうです。
子供たちがそこまで逃げ出したくなる施設...
やはり政府がもう少し資金をつぎ込んでくれれば、
グラウンドや体育館などを中に立てられるスペースがあり、
十分な食べ物を提供できれば...と思わずにはいられません。

写真1枚目

※写真の1枚目は、絵を描くユースセンターの男の子たちです。
たぶん、宇宙の絵を書いているのでしょうか。
このサービス活動の期間、私たちは彼らと絵を描くコンテストをしたり、
爆弾ゲームをしたり、伝言ゲームをしたりと様々なアクティビティを提供しました。

写真2枚目  

 写真2枚目は、最後にユースセンターのみんなとお別れする直前の写真です。
ご覧のように、私たち3人の日本人の他に、男の子がたった5人。
これ、本当は15人いたんです。でも最終日にはこの5人しか残っていなかったのです。

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