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フィリピン、KPACIO体験談その10、催促と喧嘩
次のsecondly classでは別の苦労が待っていました。
授業開始前に子どもたちが教室に来たので、私は何気なく机の上で折り紙を始めます。
期待どおりすぐに左右にぴったりと二人の女の子が寄ってきます。
右にいるのがビゲール、左にいるのがシスティマー(両方4歳)です。
私が鶴を折っているのを二人は両側から除きこみ、熱心に見ているのが分かります。
折り終わるとそれを受け取るビゲール。
システィマーが「アノパ」と言ってきます。
一昨日習った単語で「アノパ」が他には?という意味だと知っているので、
どうやら他にも作れと言われているみたいです。
...初めて、子どもたちの言うことを理解できた瞬間です。
私はさらに幾つか物を作ったのですが、
終わる度に両側から「アノパ」と催促を受けるので、止めることができません。
いいえ、なぜ止めることができないかと言うと、毎回折り終わるとそれをビゲールが受け取るのですが、
後にシスティマーが力ずくでビゲールの手から奪い取り、ビゲールがものすごく怒っているのです。
終いには、折り紙を折っている私と手が当たらんばかりのところに二人が手を出して、
できあがったら我先に受け取ってやろうと待ちかまえているという...。
私は言葉ができないので、二人の喧嘩を抑えることはできないため、とにかく気をそらします。
新しい折り紙を出す度に、「アノン クライ イト?(何色?)」と聞き、二人に答えてもらうのです。
6.7歳のクラスになれば私のタガログ語のアクセントが多少おかしくても子どもたちは理解してくれますが、
3.4歳のクラスでは確実に発音できていないと通じません。
でもこの「アノン クライ イト?」は子どもたちに通じているみたいで、色を答えてくれます。
自分の怪しい怪しいタガログ語に少し自信を持ち始めたきっかけです。
さて、折り紙を折って子ども一人に渡してしまった人は、
その部屋にいる全ての子どもに折り紙を渡す責任があります。
じゃないと不公平となって喧嘩を招いてしまうからです。
今日の出席者は7人。
だから最低でも7こは何かを作らなければならないことは覚悟していました。
ところが...、
明らかに7こ以上は作ったと想われるのですが、永遠に終わらない二人からの催促と二人の喧嘩。
言葉があまり分からないので状況がきちんとは掴めていないのですが、
私がそろそろ何かを折り終わる気配を見せると二人が「アコデー」と言います。
「アコ」は私という意味なので、たぶん「アコデー」はIt's mineみたいなかんじだと思われます。
できあがった瞬間にはシスティマーはそこにはいないんです。
だから右側にいるビゲールが受け取ります。
しかし、システィマーが後からやって来て、ビゲールの手からそれを奪い取って行き、
机の真ん中に集めて守っているようなのです。
ビゲールは怒って右手で机を叩きながら、左手を私のほうに出します。
新しい物を作れ、と。
さらにビゲールは机の周りを指さしながら"1234567"と数え、
その後机の真ん中を指差しながら"12345678"と数えて何か文句を言っています。
たぶんですが、
「私たちは7人でしょ?折り紙は8こでしょ?だから一人1こでしょ?なのに、なんで全部取るの?」
と抗議しているのです。
彼女の言っていることはけっこう正しいのですが、聞く気など無いシスティマー。
っと、ようやく四日目ともなると子どもたちの言ってることは雰囲気から理解はできるようになった私ですが、
この状況をどうすることもできません。
せいぜい、取りあおうと待ちかまえている二人に「ヒンタイ(ちょっと待って)」と言う程度なのですが、
これも本当にヒンタイは待ってという意味なのか?
と疑問に想うほど子どもたちは聞いてない。
この体験を境に私は「サバイ(togather)」さらに「サバイサバイ」で「いっしょにね」みたいな意味の言葉や、
「ピラ(列)」さらに「ピラピラ」で「列になって並んで」みたいな意味の言葉、などを覚えたのでした。
しかも...もう10時を過ぎていて授業開始時間は過ぎているはずなのに、
いっこうに授業を始めようとしない先生方。
ダフネさんなんて、携帯でハリエットさん(KPACIOの代表者)と電話してますし...。
3.4歳の子たちは机に縛り付けて文字を学ばせるよりも、
睡眠や遊びのほうを重視すべきと考えられています。
子どもたちが夢中になるものがある今、それを押しとどめて授業をする必要はない、
という判断なんでしょうけど、それプラス、
ちょうどいい機会だ、今日は自分たち教師は楽ができる...
と思っているように見えてなりません。
まあ...、子どもたち以外のメンバーの中では最年少は明らかに私で、
たぶんいっしょに遊べる気力があるのも私だけだと想われるので、仕方が無いのですが、
前のクラスですでに襲われている私なので、かなり体力の限界に来ています。
けっきょくこの日、secondly classでは授業らしい授業は行われませんでした。
午前中のクラスで疲れきってしまい、午後のクラスはテンションが上がらず、
もはや子どもたちの相手をすることに気乗りがせず、ものすごく手抜きをしたという、まだまだ未熟な有様なのでした。
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