Co-CoLife Vol.4

Co-CoLife Vol.4 page 15/24

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中学2年生で小さな分校に転向。少し明るさを取り戻した娘は、保健室で高校受験にチャレンジします。しかしチックが原因で受け入れてもらえず、結局通信制の道を選びました。その後、通信制大学に進学(8年かかって今....

中学2年生で小さな分校に転向。少し明るさを取り戻した娘は、保健室で高校受験にチャレンジします。しかしチックが原因で受け入れてもらえず、結局通信制の道を選びました。その後、通信制大学に進学(8年かかって今春卒業しました)、そして現在の職場に勤めて4年になります。仕事と勉強の両立、チックと戦いながらの大学のレポート作成など、徐々に前向きな行動が増えてきた様子に、私は誇らしさを覚えるようになりましたが、娘が自分で少し症状をコントロールできるようになり、「チックとうまく付き合っていこう」と考えられるようになるまでの苦労は、とても言葉で言い尽くせるものではありませんでした。チックを抑えるために、握りこぶしで顔に圧をかけたりして、あざだらけの顔で出社していくこともありました。声も止まらず、年中何かしら早口で言いながら体は動いているので、かなり体力も使っています。それでも、時おり私が行き詰まってしまうと、「『自分から命を落とすことは良くない』って先生が言ってたよ」と励ましてくれます。強くたくましくなった娘に、いろいろなことを教えられ学んでいます。今娘は、「嵐」の櫻井翔さんが大好きで、コンサートでストレスを発散し、日々の頑張りにつなげています。テレビで櫻井翔さんを見ているときの顔は、それまでの「なんで心臓病だけでなく、トゥレット症候群まで?」と病気に対するはがゆい思いに満ちていた表情からは、想像がつかないほど幸せそうです。そんな娘を見ていると、普通の女の子が普通にできることをさせてあげたい気持ちがあふれてきます。これまでたくさんの困難を乗り越えてきたぶん、優しい気持ちはひと一倍で、我が子ながら自慢の娘です。けんかもしますが、「お互い一番の親友だね」と声をかけ合うこともあります。出会いを夢見る娘の笑顔が、幸せ色に輝く日が一日も早く来るよう願っています。娘自身も「理解してくれる人に出会えるといいな」と近ごろよく口にしています。「焦らなくていいよね」「必ず理解してくれる人がいるからね」と話しています。うれしい瞬間が訪れました。昨年開催された「トゥレット症候群自主シンポジウム」で、娘は当事者発表に臨んだのです。「私のチックが大変な時も、家族のために働いて遠くで見守ってくれた父。そして一番近くにいてメンタルを支えてくれた母。病気の妹を持ったのにもかかわらず、理解を心から深めてくれた強い姉。私は本当に幸せものです」。苦しいながらも家族を思う娘の言葉に涙がこぼれ、娘とひとつになれた気がしました。この喜びの陰には、理解ある職場の人々、主治医の先生、同じ境遇の仲間たち、そして今も心から信頼している高校時代の恩師の存在がありました。「チックは苦しいけれど、それがきっかけとなっていろいろな方と知り合うことができる。悪いことばかりではないのかなあ」と最近思えるようになりました。一緒にいた時は妹の病気を理解できないでいた長女も、渡米し、現地の大学でチックについて調べてからは、少しずつ協力的になり、アドバイスもしてくれます。現在は、ニューデリーに滞在し離れ離れですが、家族は里美を中心とした強い絆で結ばれています。「知名度がないトゥレット症候群だが、だからこそ、当事者がどんどん社会にでて理解を深めることが大切である。(中略)辛い時は独りよがりの気持ちになりがちだが、そんな時こそ意見を言い合っていろいろな意見を聞くことが重要になってくる」。娘の卒業論文「トゥレット症候群と共に生きるには」からの抜粋です。〝共に生きる?ことがこれからも課題になっていくと思います。幾多の困難が待ち構えているでしょうが、楽しいこと、幸せなことが必ずあると信じて、娘を見守っていきたいです。娘と過ごしてきた26年。この試練の日々は神様が私に「強くなれ」と言っているのでしょう。涙もいっぱい流しましたが、「サト、生まれてきてくれてありがとう」15「サト、生まれてきてくれてありがとう」普通の女の子が普通にできることをさせてあげたい会えるのは年一回。雪の中、ガッチリ絆を確かめ合う姉妹祝卒業。「障がいを持っていてもやればできる!」を実感高校時代の先生と。昔も今も、そしてきっとこれからも人生の師※トゥレット症候群……まばたき・ジャンプなどの突然出現し繰り返す素早い動き(運動チック)と、咳払い・単語の繰り返しなどの音や声(音声チック)を主症状とする、自分ではコントロールしがたい神経の病気。高率でADHD、強迫性障害などの併発症がみられる。