文化服装学院イベント「ファッションは人を元気にする力がある」!

こんにちは。編集長の土井唯菜です。

2021年11月11日、ユニバーサルデザインのデニム「FlyingJeans(フライングジーンズ)」の企画発表会に行ってきました。

そもそもこの企画は、2019年11月に文化服装学院で行われた、一般社団法人 山形バリアフリー観光ツアーセンター 代表理事の加藤健一(かとう けんいち)さんの講義から始まりました。今回のイベントは、FlyingJeansを製作するにあたっての加藤さんの想いをぜひ広く伝えたいと学生たちにより企画されました。

加藤さんはパラグライダー専用の車いすに乗って地元山形の大空を飛んだことがきっかけで、「空飛ぶ車いす社長」という名でも知られています。21歳で筋ジストロフィーを発症し、健常者から当事者になったことから、生活が180度変わったのだそう。「障がいは環境にある」と考え、インクルーシブな社会を作ろうと実践したことの一つが、今回のイベントで取り上げたFlyingJeansでした。

FlyingJeansとは、加藤健一さんが丸安毛糸株式会社の岡崎博之さんと制作した車いすの方向けのジーンズ。パターンから素材・デザインまでこだわった一本です。

さて、今回の企画はファッションがテーマ。さまざまなバックグラウンドの方々の知見を元にトークセッションを行いました。

トークセッションのメンバーは以下の3名。

MC:山口大人さん
(MASATO YAMAGUCHI DESIGN OFFICE 代表 / デザイナー)

加藤健一さん
(一般社団法人 山形バリアフリー観光ツアーセンター 代表理事)

田中絢子さん
(COHINA 代表/ディレクター)

「ファッションは人を元気にする力がある」をテーマにしたこのセッション。私にとっていくつか心に残る言葉がありましたので、ご紹介したいと思います。

MC:山口大人さん 提供:文化服装学院

「病気になった時に最初に想像したのが先に同じ病気になった先輩方でした。先輩方に会った時に自分も将来こうなってしまうんだと不安になったんです。だから今、さまざまなことに挑戦することによって自分を見ている子ども達に夢や希望を届けることが活動の大きな源になっています」と加藤さん。

自分も同じ障がいの先輩方にお会いした時に不安を感じたことを思い出しました。加藤さんのようにここまで大きな夢を叶え、実現させることはなかなかできないことですし、素晴らしいなと感じました。

加藤健一さん 提供:文化服装学院

また、身長148センチの小柄女子だった田中さんは、小さいサイズの洋服がない、と気づき、自分でブランドを設立し、こんなお話をされていました。

田中さん「世の中にこんなに洋服があるのに自分が着たいものがなかったんです。21世紀にはネットや店舗もたくさんあってもちろん自分に合う服もあるだろうと思っていたので、ないなら自分で作ってしまおうと考えました。アパレルに関しての知識が無知だったからこそできたことだなと思いました」

私は自分に合う服を探すことから楽しんでいますが、確かに今の世の中、こんなにたくさんのブランドがあるからこそ、自分にピッタリなブランドがあってもおかしくないのかもしれません。そして求めている方をネットで探し、直接声を聞くといった手法が現代らしいなと感じました。

さらに田中さんの「自分の悩みが他の人のためになることがある、だから発信していくべき」という言葉も胸に響きました。一人で抱えているのではなく行動に移すことが大切だと感じます。

田中絢子さん 提供:文化服装学院

また、コンプレックスをプラスに考える方法として、加藤さんと田中さんからこんな話がありました。

加藤さん「ネガティブな生き方とポジティブな生き方、どちらがいいかと考えた時に、私は後者だったんです。前向きになることで壁を壊していくことが今は楽しいです」

田中さん「向き合い続ける。逃げない。MサイズをただSサイズにするだけではなく、小柄な体型に合うバランスを研究し続けています自分の苦手や短所が周りの人にも共感できたり、共有できることがあると思うので、発信して形にしていきましょう」

私もポジティブに生きたいと思うタイプなので、共感しました。つらいですが、逃げても事実は変わりません。だから「できるだけ楽しみたい」と考えています。

前向きになることで壁を壊し、少しでも明るい未来を目指したいと思える人が増えるように、私に何かできることはないか考えたいです。

提供:文化服装学院

今回、こちらのイベントでFlyingJeansの実物を拝見することができました。立体裁断なので、置いてある状態でも足が曲がっていたり、縫い代が体に当たらないように本体になじむような仕末をされていてとても丁寧な縫製だなと感じました。一般的に細いベルト通しても太く丈夫に作られているので介助する方のことも考えていているなと感じました。

提供:加藤健一さん

実際に座ってみたり、膝のポケットの使い心地などは分からなかったので、機会があればぜひ履いてみたいです。求めている方に届くことを願っています。